画像はイメージ図です。
ケンペルの『日本誌』の紹介を連載中ですが、本日より同時連載として筆者自身が体験した奇病の記録を投稿させていただきます。ケンペルのお話も徐々に投稿しますので、2本の連載が同時進行することになります。悪しからずご了承ください。
去る2024年の11月に筆者は奇妙な一過性の足の疾患に苦しめられました。
病名はTOH(Transient Osteoporosis of the Hip)であり、日本語では「一過性大腿骨頭萎縮症」というそうです。このブログでは略してTOHと呼びます。
一過性で良性とのことでしたが、罹患した本人は少なからず苦しい1年間を経験しました。何しろ、まともに歩けない。痛い。そして何よりも仕事のために通勤できなかったのです。これは一種の引きこもり状態に他なりません。
さらに、この疾患により、筆者は生まれて初めて「杖をついて歩く」という障害者の経験をしました。貴重な経験でした。
このTOHという病気は、多くの人が罹患する病気ではないです。私の知り合いでTOHを患った人は一人もいませんし、TOHを知っている人も居ない。筆者の個人的体験をブログで残すことに意味があるかどうか悩んだのですが、それでもごくごく少数の罹患者が私の体験を読んで勇気付けられて1日でも早く回復し、そしてまた晴れ晴れとした気分で普段の生活に戻って行くための助けになればと思うのです。
どんな病気なのか
一過性大腿骨頭萎縮症は、原因不明の大腿骨頭の一時的な萎縮により股関節に痛みを引き起こす疾患です。一般的に予後良好で、安静や免荷などの治療によって自然に改善します。
原因は正確にはわかっていませんが、骨粗鬆症が原因となって生じる大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折と同じような機序で発生するものと考えられています。
この良性疾患は、整形外科での早期発見が肝要であり、症状を誤解してスポーツジムで運動を続けたり長距離の歩行運動を続けると悪化してしまいます。養生が悪かった場合、大腿骨骨折を起こした症例もあるようです。
レントゲンで大腿骨頭に骨萎縮が見られたり、MRI検査ではびまん性の骨髄浮腫(こつついふしゅ)を認めます。びまん性の骨髄浮腫とは、骨の内部にある「骨髄」という組織に、広範囲(びまん性)にわたって水分が溜まり、むくんでいる状態を指します。通常、レントゲン検査(X線)では確認できず、MRI検査を行うことで初めて発見されます。
「画像診断まとめ運営事務局」(株式会社UP TO DATE)が運営している「画像診断まとめ」という情報サイトにこの疾患の画像診断の事例が掲載されています。
症例 40歳代男性 1ヶ月前から誘引なく左大腿前面痛の出現あり

T1WI(T1強調画像)とは、MRI検査で撮影される最も基本的な画像の一つで、解剖学的構造(体の形や位置)を鮮明に映し出す画像。
STIR(Short TI Inversion Recovery:短反転時間回復)法とは、脂肪の信号を消して(抑制して)水分や病変を白く目立たせる撮影方法。
STIRの画像では、大腿骨の頭と骨盤のソケット部分の間に白い水分(浮腫と呼ぶ)がはっきり写っています。
このブログの筆者(よもやま無禄)のMRI画像では、白い浮腫の部分がこの画像よりももう少し厚めにはっきりと確認できました。
筆者はこのMRIを合計3回受けて、ようやく浮腫がなくなることを確認するまでTOHと向き合い、リハビリに通い、悪戦苦闘の毎日を体験しました。
罹患から完全に治るまでの1年間をまとめたので、参考に供します。筆者個人の日記から転載しているので、丁寧語になっておりませんこと、お許し願います。
罹患した頃の日記
2024年10月末日に某社役員会の合宿会議で飲みすぎてしまった。翌11月1日は朝食後に、宿舎を出て帰宅したのだが、二日酔いのためか左足の太ももに違和感を感じはじめた。
これがTOH発症の瞬間だったが、当時は左足の太ももを軽く捻挫したか、寝違えたかといった印象で、痛いという認識より太ももの筋肉の違和感が強かった。
この変わった痛みは持続した。11月末には大阪の某所への出張を予定していたので、早く回復させるべく、スポーツジムで歩行運動をしていたが、どうも改善する傾向になく、少しづつ不安感が蓄積する日々を過ごす。
11月末に何とか2日間の大阪出張を終えたが、歩行時の左足の痛みは改善せず。手持ちの電子式のマッサージパッド(ドクターエア)で頻繁に左膝や左もも肉をマッサージすることで、短期間の回復を見ていた。このまま改善するだろうと思って、毎日の暮らしを続けていた。
悪化と外科受診
はっきりと異常を感じたのは、最初に違和感を感じてからちょうど1ヶ月経過した頃だ。12月の3日に、足の具合が良くなったので、夕刻にスポーツジムでスイミングプールでのアクアウオークを30分実施したのが悪かったようだ。
翌日はかなりの痛みで、歩くのも困難になってきていたので、左足太ももから膝にかけて何らかの異常があるものと判断。
週末に近隣の整体師が経営するマッサージジムに赴いて症状を説明。足の筋肉が非常に固くなっているという説明と指圧を受けて帰宅。指圧の直後は若干の改善があったと記憶している。
ひどく痛みが増したのは、その週末の土日である。歩行するのはかなりの苦痛になってきていた。とにかく歩くと痛いので、100メートルも歩けず、その半分程度進んでは一休みして、また歩くといった状態。階段は手すりに捕まらないと登ったり降りたりできない。
土日を経て、症状は悪化しており、強い不安感を感じたため、12月10日に足のレントゲンを撮ってもらうために、近隣の整形外科(クリニック)を訪問した。レントゲンは異常が認められず、即日MRIを受けることを推奨され、やはり近隣の脳神経外科にてMRIを撮った。
MR検索後に再度整形外科医と面談した結果、この症状は「一過性大腿骨頭萎縮症(TOH)」だろうとの説明を受けた。この時初めてTOHを知り、単なる筋肉痛や骨の損傷では無いことを知った。

医師からは、運動することは厳禁。通勤も避けて、出来るだけ「歩かない」ことを指示された。通勤先の部長に申告して、勤務日は原則「在宅」勤務に切り替えてもらうこととなった。病名に「一過性」とあるのが救いだが、しかし、これで私も立派な病人になった。
教訓
- 足が異常に痛い場合、迷わずにすぐにレントゲン検査・MRI検査を受けるべし
- 原因が不明のままマッサージサービスを受けることは厳禁
- 市販のマッサージ機材に依存するのも良くない(診断後は医師と相談)
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
次回はステッキの話です。

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