案内士の道:過去問との格闘

千夜一夜

2025年の8月末に案内士国家試験の準備を始めた私ですが、当初は日本史と日本地理の過去問の難しさに愕然といたしました。しかし、万世一系の皇位の歴史から戦国武士の世界、そして南北に長い島国が織りなす自然の美と驚異に感嘆しながら参考書を紐解くうちに、一つの真理に辿り着きました。それは、「過去問に愚直に取り組むことこそが合格への王道である」ということです。

同年9月から2026年4月初頭までの約7ヶ月間、歴史・地理ともに11年分(2015年〜2025年)の過去問を解き続けた結果、ようやく合格圏内(70点台)を狙えるレベルまで到達することができました。(そうでない場合もまだ若干ありますが・・・)

この学習の過程で、どの教則本にも、そしてあの植山源一郎先生の資料にも明文化されていない「効果的な試験勉強の秘訣」を醸成できました。本日はその備忘録として、地理の過去問を例に二つのポイントをお話ししたいと思います。

地理の過去問が示す「出題傾向の変遷」

2015年以降の地理の過去問を俯瞰すると、2020年までの前期6年と、2021年以降の後期5年に明確に分かれます。

前半の6年は、正直に申し上げてマニアックすぎる問題が受験者の自尊心を抉るような時代でした。30分という限られた時間で40問前後を解く必要があり、1問あたりわずか40秒というハイスピード回答が求められました。私も何度も挫折しそうになり、2020年度の問題で惨敗した直後は「自分にはこの試験の制覇は無理ではないか」と頭を抱えたものです。

例えば、JR九州の「D&S列車」の愛称を問う問題や、大分県の別府八湯の中から特定の情緒を持つ温泉地を選ばせる問題など、「果たしてこれを通訳ガイドに求める必要があるのか」と疑問を抱かざるを得ない出題が散見されました。

しかし、こうした強烈な傾向は2020年を境に一変します。2021年からは設問が30問前後に削減され、内容も訪日客が好んで訪れる観光地や文化の知見へと集約されてきました。この劇的な変化について、当局や予備校がはっきりと評価している形跡はありません。この「潮目の変化」に気づけたことは、私にとって大きな収穫でした。

「広く浅く」知ることの致命的な重要性

私が2026年3月に取り組んだ2021年度の過去問では、24分で回答を終えた(32問)ものの、結果は64点の落第スコアでした。失点の原因は明白で、日本の「グルメ」と「飲み物」に関する知識不足です。

この年は、従来の地理の知識だけでは太刀打ちできない食文化の問題が5つも含まれていました。

  • 岩手県、盛岡の「じゃじゃ麺」
  • 群馬県、伊香保温泉の「水沢うどん」
  • 東京都、高尾山の「とろろそば」
  • 岐阜県、五箇山地区の「豆腐」(私は「納豆」を選択して失点)
  • 愛知県、半田市の「ビール」

五箇山の問題では「合掌造り=藁=納豆」というイメージの罠に完全にはまってしまいました。グルメ系の問題がこれほど集中するのは稀ですが、城郭や世界遺産といった純地理的な知識だけでは合格できないという厳格な現実を突きつけられました。文人ゆかりの地や、コルビジェといった建築家の知見、各地の奇抜な祭りなど、カバーすべき範囲は驚くほど広範です。

一般的地理の問題はそこそこ答えられたが、食べ物や飲み物の関連問題で、全て間違った回答をしてしまった。(フォーマットは10択ですが、問題文は全て四択です)

私の地理受験準備のテーマは「マニアックな深い知見の積み上げ」から「広く浅く広範囲な知識」に変わりました。

「黄金の四択」から学ぶ合格の秘訣

現在の試験はマークシート方式ですので、難読地名の漢字を書くスキルは求められません。この種の試験に勝つには、いかに多くのテストを「経験」するかが鍵となりますが、私は一歩踏み込んだ分析を行っています。

Envato Elements のイメージ素材。All riights reserved by envato elements.

多くの攻略サイトでは「どれが正解か」「どこが引っかけか」を解説しますが、私が注目したのは「不正解の選択肢はどこから引用されたのか」という点です。

問題作成者は、正解を際立たせるために、関連性の高い、しかし紛らわしい選択肢をわざわざ選んで配置します。例えば奈良のお寺の問題なら、選択肢には必ず奈良の他の名刹を並べます。適当な造語や無関係な地名を並べると問題そのものが簡単に成り下がって(国家試験として)成立しないからです。

つまり、「不正解の選択肢として並んだ語句」こそが、次に問われる可能性の高い重要キーワードの宝庫なのです。

私はこれらを「セット情報」として整理し、白地図とは別にパソコン内でデータベース化しています。正解して終わりにするのではなく、「なぜこの選択肢が並んだのか」「次に出題される際のキーワードは何か」を徹底して掘り下げる。この「四択の深掘り」こそが、2026年以降の試験を勝ち抜くための私の戦略です。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事のきっかけになった話はこちら

前回の「案内士の道」シリーズはこちら

次回はこちら

<未投稿ですので後日リンクを貼ります>

コメント

タイトルとURLをコピーしました