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こんなに詳しい知識が前提なのか?(画像はイメージです。envato elements all rights reserved)
例えば、2023年に出題された日本地理の問題に、富山県立山町に関するものがありました。
「立山黒部アルペンルート」という、黒部ダムを含む壮大な山岳観光ルートの説明文から始まるのですが、単なる観光地の知識では太刀打ちできません。「立山信仰」という宗教的な背景にまで踏み込み、さらにはこの町を流れる河川の名前(これ自体がすでに難解です)を選択させ、その中流に展開する「宗教集落」を次の中から選べというのです。
①芦峅寺(あしくらじ) ②勝興寺 ③瑞泉寺 ④本證寺
集落の名前を問うているのに、選択肢はすべて「寺」。しかも、どの寺もこれまでの人生で一度も耳にしたことがない名前ばかりです。「通訳案内士として、果たしてここまでの知識が必要なのだろうか?」と、私は深い疑念に囚われてしまいました。
正解が①の芦峅寺だと知り、その真偽を確かめようとネットで地図を広げましたが、検索しても場所の特定すらままなりません。やむなく百科事典を紐解くようにWikipediaで調べてみると、確かに芦峅寺とは、ある特定の寺院を指すのではなく、立山信仰を支えた「宿坊」が集まる宗教集落の総称であると説明されていました。 私はただ、茫然とするほかありませんでした。

通訳案内士試験が、想像を絶する高レベルな審査であることを知った私は、しばし考え込んでしまいました。しかし、ここで立ち止まっていても始まりません。まずは落ち着いて、高校レベルの「日本史B」から学び直そうと思い直しました。 私はすでにビジネスの一線を退いた身。必要以上にマニアックな重箱の隅をつつくような知識を追い求める必要はないのではないか。まずは日本史Bの標準的なレベルをしっかりと固めること。それは日本人としての教養としても、決して損にはならないはずだ——。そう自分に言い聞かせました。(そしてこの判断が、後に大きな意味を持つことになるのです)
では、具体的にどう学んでいくべきか。 効率的な勉強法を求めてSNSを検索してみると、難関大学に合格した現役受験生による指南動画がいくつか目に留まりました。その中でも、とりわけ聡明で要領の良さが際立つ配信者が、「何よりもまず、歴代天皇と歴代総理大臣の『暗記』こそが、すべての基礎になる」と説いていたのです。
その動画では、暗記に使ったという一枚のリストが丁寧に公開されていました。 天皇は初代神武天皇から第126代まで。そして日本の内閣総理大臣は、当時の高市早苗内閣で104代を数えます。

67歳の私が、延べ230名を超える人物名を順番通りに暗記するなど、果たして可能なのだろうか。 再び疑心暗鬼が頭をもたげましたが、これが「基礎」であり「関所」であるならば、避けては通れません。とはいえ、ただ闇雲に頭から丸暗記するのでは芸がありませんし、何より非効率に思えました。
次回は、日本史を血肉にするための基盤として、私がどのような「暗記術」を組み立てたのか。その試行錯誤についてご紹介したいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
歴史と地理の不可分な関係
本稿を読み進める中で、「歴史の話なのか、地理の話なのか、境界が曖昧で分かりにくい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、こと全国通訳案内士試験に関していえば、この二つの科目を厳密に切り離して学習することには、あまり意味がないというのが私の実感です。過去問をいくつも解き、その背景を深掘りしていくうちに、私の中で歴史と地理は「渾然一体(こんぜんいったい)」とした一つの知識へと変わっていきました。
歴史の設問で地理的な知識が問われることもあれば、地理の設問が歴史的背景を抜きには語れないことも頻繁にあります。試験制度上は別々の科目として存在していても、現実は分かちがたく結びついているのです。
したがって私の結論は、この二科目を明確に区別しようとすることは、かえって不自然であり、非効率であるというものです。むしろ、相互に関連し合う「ヒト・モノ・コト」の繋がりをそのまま受け入れ、自分なりの感覚に落とし込んでいくことこそが、合格への一番の近道だと考えています。
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